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                 --- CONTENTS ---      
【01】ベルヌーイの定理で、流速が増加すると本当に静圧(気圧)が減少するのでしょうか?
【02】本当に静圧(気圧)が減少するのか、ラジオゾンデを飛ばして測定してみます
【03】ベルヌーイの定理とラジオゾンデによる測定結果の矛盾?
【04】流速が上がると静圧(圧力エネルギー)が減少するメカニズム
【05】圧力エネルギーが等方性から異方性に変化するメカニズム
【06】ピトー管で速度が測れる訳
【07】リーディングエッジより下方の空気が翼上面へ分岐するのはなぜか
【08】空気は翼面に沿った流線上を移動するか?
【09】ベルヌーイの定理の確証?
【10】循環理論とは
【11】ベルヌーイの定理と取り違え易い効果と現象
【12】流体に吸い寄せられるスプーン
【13】リンク
【14】翼型解析 フリーソフト XFLR5 をダウンロード


    ベルヌーイの定理への素朴な疑問を解決
       中学生諸君でも本質を理解できるように図で説明します

Bernoulli's principle

      ベルヌーイの定理として周知の上式において、流速が増加すると静圧(気圧)が減少することになりますが、
      本当に静圧(気圧)が減少するのでしょうか?




    ▲ ラジオゾンデは流速に関係なく気圧を測定するので、
      流体の密度・温度・湿度などが変わらなければ気圧は同じ P1 = P2 になるはずです!
      もし流速で気圧が変化するのであれば、流速で気圧を補正しなければなりませんが、
      実際はそんな補正はしていません。(GPSを搭載しているので風速も高度も測定しています)
    ■ 従って流速(風速)が変化しても気圧(静圧)は変化しません。


ベルヌーイの定理式とラジオゾンデによる測定結果の矛盾?

    ■ ベルヌーイの定理式の静圧(気圧)項 P は変化しますが、実際にラジオゾンデで測定すると変化しません。


      別の要因で働く圧が発生する原因として、
      仮説1:せん断応力による流れと垂直成分による圧という説。
          → 粘性係数とか摩擦係数などが残ってしまってのようにはすっきりしません。
      仮説2:流体分子が面に斜めにぶつかるので圧が減少するという説。
          → 三角関数が残ってしまうのでこの説は疑問です。
      仮説3:流体が移動しているので受圧面積が広がるので圧が減少するという説。
          → 面積が広がるのは流れの方向だけなので、2乗ではなく流速に比例するはずです。
      仮説4:ランダムに運動している気体分子の内で流れと平行に運動している気体分子のみが
          細い管に流れ込むことができ、その結果壁面にかかる圧力が下がる。
          → 尤もらしいけれど?

      何れにしてもが発生する事由を見つけられません。

      一般的に『ベルヌーイの定理』と謂われてますが正しくは『ベルヌーイの法則』です。
      別の要因で働く圧が発生するメカニズムを証明する必要はありませんし、
      『万有引力の法則』と同様に、証明しようとしても不可能です。
      流体の運動を数式で表したとしてもそれは事象の説明であって、
      別の要因で働く圧が発生するメカニズムを証明するものではありません。


流速が上がると静圧(圧力エネルギー)が減少するメカニズム

    ■ 何のことはありません。ベルヌーイの定理のエネルギー保存則から出てきた負圧に他なりません。
      これを自然法則としてストレートに受け入れるのが宜しいでしょう。
      
      
      この項を設けることで気圧は流速に依存しなくなります。
      “ベルヌーイの負圧” が存在するということは、
      
       
      巷で蔓延している “流速が上がると気圧(水圧)が下がる・・・” は適切な表現ではありません。
      気圧(水圧)は下がりません!
      ベルヌーイの負圧により、壁面にかかる総圧が下がります。
      理論上は総圧が下がって [パスカル]=真空 を通り越して、壁面を吸い寄せる負圧にまでなります。
      運動エネルギーがこんなエネルギーに変身するなんて “エネルギー保存則” って凄いな〜とひたすら感心です。
      核反応時の E=mc2 で表される質量エネルギーが仕事エネルギーに転換することと同等の驚きです。
      定理を発見したベルヌーイさんは偉大です。


圧力エネルギーが等方性から異方性に変化するメカニズム
      
      事象の本質を捉える別のテクニックとして、ディメンションのスケールを拡大または縮小してみると、
      自明な事象と結びつけることが出来ることがあります。
      例えば[m][kg][s]の長さをキロメートルに拡大するとか μメーターに縮小するとかしてみます。
      時間を1年に拡大するとか μ秒に縮小するとかしてみます。
      別のテクニックとして、基本中の基本としてディメンションを揃えることが肝要です。
      左辺と右辺のディメンションが違う式とか、ディメンションが違う量を加減算(乗除算は可)している式は
      表現が誤っています。何か重要な要素が簡略化されている可能性があります。

    ■ 余談になりますが、或るエネルギーの増加により別の正(であると思い込んでいた)エネルギーが
      負のエネルギーに変化するメカニズムを重力に応用すると、もしかしたら反重力を発見できるかもしれません。
      ってことは無いでしょう・・・。

    ■ ベルヌーイの定理のエネルギー保存則のまとめ。
 
      もし流体の静止圧が静止大気圧と異なる場合は、静止大気圧を静止流体圧に置き換えます。
      静止大気圧は “空間に対して等方性” を持ち、流速に依存しません。
      一方、運動エネルギーとベルヌーイの負圧は空間に対して方向性を持ち、流速に依存します。
      ベルヌーイの定理に基づく現象の考察には『総エネルギー=・・・』で表記された原理式を用いて進めることが肝要です。
      簡略表現では誤解を招くことが多々発生します。






ピトー管で速度が測れる訳 静圧測定孔が無い全圧測定孔だけの管はピトー管とは呼びません。単なる風圧計測管です。
ピトー管は原理的に標準大気圧中では 398m/s (1432Km/h, マッハ1.2) が測定限界です。

  
      YouTube 動画『ベルヌーイの定理, ベルヌーイの負圧, ピトー管, 流速, Bernoulli principle, Pitot Tube, Velocity』
       
      ▲ 理論編                        ▲ 実験編




    ■ ところが、上記の速度計算式を載せている Webページは皆無です。
      殆どが次式のように表されています。
      
      この 2項が現れる原因は以下の〔誤解に基づく説明1〕 〜 〔誤解に基づく説明8〕のように、
      流れと平行な受圧面 Ss にかかる 静圧Ps は流れの影響を全く受けないと誤解していることにあります。
      権威ある NASA を始めとして殆どのサイトが 静止大気圧P0(正) を 静圧Ps(誤) と取り違えています。

      〔誤解に基づく説明1〕NASA
      
      〔誤解に基づく説明2〕
      
      〔誤解に基づく説明3〕
      
      〔誤解に基づく説明4〕Wikipedia
      
      〔誤解に基づく説明5〕山口大学 工学部 社会建設工学科 水理学
      
      〔誤解に基づく説明6〕芝浦工業大学 土木工学科 水理実験演習試料 7ページ
      
      〔誤解に基づく説明7〕東京都市大学(旧 武蔵工業大学) 機械工学科 機械システム基礎実験3
      
      〔誤解に基づく説明8〕東大 定常流に対してのベルヌーイの定理 22ページ
      
      上図の等式は一見すると尤もらしく見えますが、左辺は変動値で右辺は一定値という重大な不合理 が潜んでいます。
      静圧孔の圧力 PS を静止大気圧 P0 に置換えれば、等式が成り立ちます。
      
      以上の誤解に基づく説明を真に受けると、流速が変化しても下図の静圧計の針は振れなくなってしまいます。

 





    ■ 2を含む速度計算式では、下の三つが正しい説明です。
      星の数ほどある速度計算式の内で正しく説明しているのは、知り得る限り下の三つのサイトだけです。

    〔正しい説明1〕

      (a)点の圧力 P は静止大気圧です。静圧測定孔にかかる圧力ではありません。 (Thanks. 日本カノマックス株式会社 より援用)
      但し、静止大気圧の測定方法についての言及が無いという難点を含みます。

    〔正しい説明2〕

                    (Thanks.『技術開発に役立つ流体の力学』近畿大学名誉教授 工学博士 児島忠倫氏より援用)

    〔正しい説明3〕 実際の航空機の速度測定はピトー管方式ではなく、下図のような 静止大気圧計全圧計の組み合わせです。
            このシステムはベルヌーイの定理の応用ではないので、最大速度の計測限界が無くマッハ1.2 以上でも機能。





    ■ 流速を算出するペーパーテストにおいて回答例1と回答例2が正解です。
      ところが困ったことに出題者がベルヌーイの定理を誤解していると、回答例3が正解になってしまいます。
    




    ■ もう一つ陥りやすい誤解は、ベルヌーイのエネルギー保存則の式において、
      澱み点は流速が 0 だからエネルギーが消滅する、または  静圧  (正しくは圧力エネルギー)に転換されるというものです。
      運動エネルギーと圧力エネルギーは等価ですので、わざわざ圧力エネルギーへ転換する必要はありません。
      下図の等式は一見すると尤もらしく見えますが、左辺は変動値で右辺は一定値という重大な不合理 が潜んでいます。
      
                                  (工学院大学 ベルヌーイの定理の応用 - ピトー管より援用)
      
            同様の誤りを含んだ説明動画です。           WORKING OF A PITOT TUBE
           

           
            この数式を出発点として流速を求めるゴールを目指しても、根本的な誤りのためこのアプローチは失敗します。

          

      
                                 立正大学 地球環境科学部 環境システム学科
      
                      工学院大学 流体工学研究室 第四回ベルヌーイの定理の応用 page15
      
                      神戸大学 大学院 理学研究科 粒子物理研究室 2011年 後期期末試験
      
                            崇城大学 工学部 機械工学科 フレッシュマンセミナー
      
                                千葉大学 工学部 機械工学コース 熱流体工学
      

      錚々たる論客に異説を唱えるのは恐れ多いことで当初は夜も眠れませんでしたが、
      この誤りを発見して以後、自説の合理性に確信を持てるようになりました。




    ■ 論点のまとめ
      

      本稿は2020年9月14日に起稿。
      本項で提示している速度計算式を採るサイトは皆無で、圧倒的に多勢に無勢・孤立無援・孤軍奮闘・四面楚歌の中で、
      『それでも地球は回っている』の心境です。

      同様に “水底にある物体に浮力は働くか” というテーマでも、教職に携わっておられる方々で意見が分かれています。
      拙筆 “浮力の正体” をどうぞご覧願います。

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リーディングエッジより下方の空気が翼上面へ分岐するのはなぜか
    ■ 航空機の主翼において、リーディングエッジ(翼弦線の翼前端部)よりずっと下方の空気は、
      そのまま直進して翼下面へ分岐すれば良いものを、わざわざ遠回りして翼上面へ分岐する訳を記します。
      前方の翼上面と翼下面の場の状況が音速で伝播して翼前端に到達していない空気の微小体積に作用を及ぼします。
      これを受けて、翼前端に到達する以前に微小体積の進路が決定されます。
      空気の微小体積は、翼前端に到達する以前に翼上面と翼下面の場の状況を知ることになります。
      (或る場の状況が別の場に作用する解析はスーパーコンピュータが得意とするところです)
      

    ■ 日常生活で目にする類似の現象があります。
      道路上において事故現場の状況が光速で伝播して後続車に作用します。
      後続車は事故現場の状況を知ることができるので、事故現場到着以前に回避行動を起こすことができます。
      場の空気を読めない鈍ドライバーは、事故車とお見合いすることになってしまいます。
      




空気は翼面に沿った流線上を移動するか?


    ■ 翼前端にあった空気は、翼面上の流線上を移動して後端へ達するのでしょうか?
      風洞実験ではそのようになりますが、実際は空気は静止していて翼が前方へ移動しています。


    ■ a にあった空気は翼に押されて a' へ移動します。
      b にあった空気は翼に押されて b' へ移動します。
      以下同様。
    ※ 揚力の発生をベルヌーイの定理で説明しようとする場合には、上図は適用できません。
      ベルヌーイの定理の条件として「流体は非圧縮性であること」とされていますので、
      翼前端で空気の圧縮は起こらないので、高気圧領域は発生しません。
      翼上面で空気の膨張は起こらないので、低気圧領域は発生しません。
      ベルヌーイの定理に拠る揚力は、気圧の増減に拠るものではなく、
      流体(空気)が速度上昇すると起こるベルヌーイの負圧 (運動方向に直角) に拠るものです。


    ■ 微小体積の空気が翼に押されて(引きづられて)移動するようすです。
      空気は翼面に沿った流線上を移動するのではなく、逆 teardrop 形状を描いて元の位置へ戻ります。


    ※ この図は高木正平氏解説の『流線曲率の定理』の概念の理解の一助になるでしょう。
      日本機械学会誌 2010.4 vol.113 No.1097 『なぜ翼に揚力が発生するか?』




ベルヌーイ定理説の確証?


    ■ 翼上面の風速は翼下面の風速よりも速いことが Cambridge University の風洞実験により確かめられています。
      Francis Villatoro氏の YouTube 動画 を援用します。


    ■ 翼の上下面に設置したピトー管にて翼上下面の動圧と静圧を測定すると、各々の面にかかるベルヌーイの負圧を算出できます。
      翼の上下面におけるベルヌーイの負圧差が揚力となります。

      周知の揚力の計算式はベルヌーイの負圧が揚力の源であることを如実に表しています。
      揚力係数 CL は Airfoil Tools からダウンロードできます。
      翼型データは、イリノイ大学の膨大なデータベース UIUC Airfoil Coordinates Database からダウンロードできます。




循環理論とは


    ■ 翼の上面と下面の速度差から、翼周りに相対的に時計方向の気流(渦)が発生していると見做せます。
      クッタ・ジュコーフスキーの定理は、この循環(渦)が揚力を発生するという理論です。
    ※ 循環理論による翼端渦は現認できますが、出発渦についてはどうも釈然としません。




ベルヌーイの定理と取り違え易い効果と現象











































                                        
航空機の主翼(巡航飛行時 - 迎角小)に作用する力
航空機の主翼(低速飛行時 - 迎角大)に作用する力
航空機の主翼(背面飛行時)に作用する力
航空機のエルロン・ラダー・エレベータ・フラップ・スポイラーに作用する力
たこ、紙飛行機
スプーンが流体に引き寄せられる現象、ピンポン玉が流体に引き寄せられる現象   
回転するボールが曲がる現象   
キャブレター   
ロートに吸い付くボール   
霧吹き   
紙が流体に引き寄せられる現象
2枚の紙とか2個の風船がお互いに引き寄せられる現象
併走する自動車・船舶が互いに引き寄せられる現象、
ホームを通過する電車に人が吸い寄せられる現象  
トンネル内を疾走する新幹線車内の気圧が下がる耳ツン現象

    ■ 参考図:航空機の可動翼
      

    ■ 噴流にピンポン玉を浮かせる実験の正しい解説です。
      

      こんな解説がありました。この現象はベルヌーイの定理ではなくコアンダ効果によるものです。
      ホンダ・ヤマハ・スズキ創業の工業都市浜松が古風な京都市より劣るなんて情けない・・・・。
      

      もうひとつ。この現象はベルヌーイの定理ではなくコアンダ効果によるものです。
      
      ベルヌーイの定理は “噴流” にはあてはまりません。
      個人の趣味のサイトならまだしも、権威あるはずのアカデミックなサイトでかような情報を流すのは問題です。

      
      科学技術の最高峰である JAXA にしても、この有様です。




流体に吸い寄せられるスプーン
      水流に吸い寄せられるスプーンは良く目にしますが、それでは水銀流の場合はどうでしょうか?
      スプーンは水流の場合の逆方向へ振れるでしょう。

      
〔メモ〕

    ■ 気圧(水圧)は方向を持ちません。
      気圧(水圧)が面に作用すると始めて方向を持ったになります。
      気圧(水圧)とは別物です。
      拙筆 “浮力の正体 - 水圧はあらゆる方向に作用” をどうぞご覧願います。

    ■ 気圧(水圧)は直接測定できません。
      面に作用して発生したを測定して、気圧(水圧)を算出します。

〔リンク〕

    ・ 科学書に見られるベルヌーイの定理の誤解の拡散 神奈川工科大学
    ・ Maxima を使った流体力学基礎演習 647ページにわたる長大な pdf 資料
    ・ まぢぽん製作所 - トンネル内を疾走する新幹線車内の気圧を実測
    ・ 日立製作所 国鉄新幹線電車用連続換気装置の開発 - トンネル内を疾走する新幹線車内の気圧
    ・ 漏斗からの噴流により空中保持される球 pdf資料 防衛大学名誉教授 五十嵐保氏
    ・ 一般社団法人 日本機械学会 流体工学部門 楽しい流れの実験教室 霧吹き1
    ・ 一般社団法人 日本機械学会 流体工学部門 楽しい流れの実験教室 霧吹き2
    ・ 粘性流体の垂直応力 - 面に垂直に働く応力 pdf 資料
      東京大学 大学院 環境モデリング統合学 研究室 佐藤氏のページ  作者の愛犬 Kevin 君
    ・ 今さら流体力学? 木田重雄氏著 数式ではなく図で現象の本質を適確につかむ 221頁に及ぶ長大な pdf 資料
    ・ 同志社大 エネルギー機械工学課 水島研究室 の
      http://www1.doshisha.ac.jp/~jmizushi/index2.html の、
      流れ学 ・ 流体力学サブメニュー で開くページで、
      流れ学 → ダウンロード 流れ学 I で開く NagareI.pdfファイル

    ・ 翼型作図 フリーソフト Wing Maker (wingmaker.zip 2,118KB) をダウンロード。
        
        〔UIUC のサイト表示〕ボタンはリンク切れですので、自力で UIUC(イリノイ大学) のサイトを開かなければなりません。

    ・ 翼型解析 フリーソフト XFLR5 ver6.47xflr5_6.47_win64.zip 23,090KB をダウンロード。
        
        解凍するとできる xflr5.exe ファイルホルダーへ、
        下の三本のファイルを DLL-FILES.COM から32bit 版をダウンロードします。
        msvcp140.dll          32bit版 (倉庫に置いておきます)
        vcruntime140.dll     32bit版 (倉庫に置いておきます)
        vcruntime140_1.dll 32bit版 (倉庫に置いておきます)







                          本ページのアドレス






科学書に見られるベルヌーイの定理の誤解の拡散 長岡計器 excite 辞書:ピトー管 鳥取大学 国立研究開発法人産業技術総合研究所 石川工業高等専門学校
Update 27 September 2020